無限と有限の間で|意識と物質・時間と木とアート

無限と有限の間で
意識と物質・時間と木とアート

無限と有限の間で

私たちは、当たり前のように日常生活を過ごしていますが、
それを改めて眺めてみると、「無限と有限の間」に生きていることに気づきました。
「自由と制限の間」とも言えます。
この間の中で、意思決定をし、喜怒哀楽を感じ生きているのではないでしょうか。

無限で、自由な思い、好奇心、イメージ、意識。
有限で、制限された体、環境、場所、物質、時間。
この「無限と有限の間」で、どのような関係性を築いて生きていけばよいのだろうか?
この間の理解を深めていけないだろうか?
私はそんな疑問と向き合って制作しています。

私にとって、制作中には、しっかりとテーマやそれに関する疑問に付随した「感じ」を感じることが大切です。なぜなら、感じることは、論理的な理解とは異なった体感的な理解であると思うからです。したがって、制作過程においては、美に導かれながらも「無限と有限の間」に付随した「感じ」をできるだけ感じきることが大切であると考えています。そうすることで、問に対する体感的な答え・理解を与えうるものを、作品という形で引き出せると信じているからです。そして、この一連の流れが私にとっての「アート」です。

「無限と有限の間」について、自身の絵画における造形的な視点から述べるなら、それは、「局所性と全体性」の在り方の試行錯誤と言えます。私は、画面の中に木からインスピレーションを得た形を描いていますが、それをどれだけ局所的にし、孤立させ、個別的なものにするか。制限された有限的なものにするか。また、この形をどれだけキャンバスの形や周囲の空間、他の木々と共鳴させ、関係性を強めることで全体的なものにするのか。広がりを与え、無限性に通じるものにするか。

この様な造形的な視点からモノクロームで制作していますが、「モノクローム」であるのは、まずは単純に自分の好みと言えます。さらには、色数を減らして画面の情報を少なくさせ、パレットをシンプルにし使用する筆数を少なくすることで、道具に気を取られることなく、自分自身に集中しやすくしている点もあります。

また、「木」からインスピレーションを得た形を描いているのは、木の性質が局所性と全体性をつなぐ象徴的なものであるからです。木の地面から自ら立ち上がる性質は、独立的、個別的であり局所的なあり方を感じさせます。しかし同時に、その風を受けてなびく性質は、透明であり個体的でも物質的でもない、包括的な空気、空間との関係性を持っており、私はここに木の全体的な関わりを強く感じます。

無限と有限の間は、日々の生活の中では特に意識することのない当たり前のことでしょう。しかしだからこそ、その探究は人間の土台・プラットフォームの理解を深めるものと言えないでしょうか。探究のためには、様々な分野や視点からのアプローチがあるでしょう。絵画もその一つであり、無限と有限の間に付随した「感じ」を、制作を通してできるだけ感じきることで、それに対する体感的な理解を与えうるものができると信じています。

2018/02/11

Biography

1974
埼玉県生まれ

2000
デンバー大学社会科学部社会学科、美術学部Studio Art科卒業

2005
愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了

個展

2003
名古屋市民ギャラリー矢田、愛知

グループ展

2014
「地球色展」、世田谷美術館区民ギャラリー、東京

2013
「木々・没入・パンドラの箱・しっけ展」、ギャラリー・ルデコ、東京

2005
「日韓交流美術展 MOVE around / DIVE deep」、名古屋市民ギャラリー矢田、愛知
「愛知県立芸術大学修了制作展」、愛知県美術館ギャラリー

2004
“Korea-Japan-China Friendship Exhibition 3 MOVE around / DIVE deep”, Kyung Won University of Fine Art Hall Way Post, 韓国
「5つの窓」、ギャルリーくさ笛、愛知

2003
「12’s Exhibition」、愛知県立芸術大学芸術資料館

2000
“BFA Exhibition”, University of Denver Shwayder Art Building, デンバー、アメリカ
“Juried Student Exhibition”, University of Denver Shwayder Art Building, デンバー、アメリカ

1999
“miniatures”, Core New Art Space, デンバー、アメリカ